BRICs経済研究所は,ロシアにおけるビール消費量の急増を報告しています.面白いのはウォッカからビールへの国民の指向の変化に関する言及です.旧ソ連の崩壊によって国民は貧困を経験.そこでストレス発散のため,人々はアルコール度数の高いウォッカを大量に摂取するようになったというのです.しかし近年は生活水準の向上によりストレスをあまり感じなくなったため,特にモスクワやサンクトペテルブルグなどの大都市で,人々はウォッカよりビールを好むようになりつつあるのだそうです.この考察が本当だとすれば,僕が今まで持っていた「ロシア(人)=ウォッカ」という単純なイメージは「=社会主義国家の崩壊」にも結びつかせることができ,もっと別の視点からの考察がいろいろとできるだろうと思いました(暖まるためにアルコール度数の高いウォッカを飲んでいたわけではないのですね).
ロシアの人口は約1億4千万人で日本とほぼ同じですが,国土面積は約45倍です.ロシアのビール消費量拡大に貢献しているのは,今のところほぼ大都市住民だけ.つまり今後,広大に広がる地方都市でもビール指向が強まれば,ロシアにおけるビールの消費拡大は更に強まる可能性があるのです.BRICs経済研究所の同報告によれば,日本人1人あたりの年間ビール消費量は約50リットル.しかしモスクワとサンクトペテルブルグの住民(ロシア全体の国民ではない)は,年間1人あたり70リットルを消費するのだそうです.ちなみに日本人の1人あたりの年間ビール消費量は,同報告中にある30カ国の比較で最下位です.1位はチェコで約160リットル.これは350ml缶で約457本です.日本が最下位である理由はいろいろあるでしょうが,ビールの価格が高いというのも大きな要因の一つであろうと思います.日本のビールは明らかに高いのです.国の「いじめ」を何とか回避するべく生み出された「発泡酒」の存在も大きいだろうと思います.
ロシア人のすごいところは,「ウォッカの代わりにビールを飲む」というよりは,「ウォッカもこれまでと同じように飲むし,ビールも飲む」というスタンスを貫いていることだと思います.すなわちビール市場の拡大によって,ロシア国民のアルコール摂取量が加速度的に増加する可能性が多分にあるのです.すでにロシアは,アル中による死亡例の深刻化などを受けて様々な規制を発案・発令しているようです.同報告は「ロシアにおけるビール市場の拡大は,国民のウォッカ離れに依存している」という結論で終わっています.しかしビール業界にとってはそれが「正しい」市場の拡大かもしれませんが,ロシアの伝統的な酒文化という視点で見ると,それはそれで問題を含んでいると思うのです.ウォッカ離れは深刻化しない程度にとどめられたらいいと思いました.
というわけで,今日は発泡酒ではなくビールを飲みたいと思います.久しぶりのビールです.でも高いから少しだけにして,結局は発泡酒を飲むことになるかもしれません.
ロシアの「ピーバ」市場はどこまで拡大するか?~ウォッカからビールへの代替が進めば2015年の消費量は1081.5万キロリットルに
(※ピーバとはロシア語でビールの意味)
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