Nov 05, 2005

AmazonPagesに感じる現代の世知辛さと薄っぺらさ

amazon.co.jpの「なか見!検索」とは対照的に,amazon.comの本文閲覧機能,および現在開発中の「Amazon Pages」と「Amazon Upgrade」には将来性を感じます.特に「Amazon Pages」は我々読者の強い味方になるだろうと思います.必要なページ,あるいは章だけを購入できるというサービスは,まさに書籍界の構造改革といえるでしょう(by彦麻呂).以前はアルバム単位でしか購入できなかったCDが曲単位で購入できるようになったことと同じように,書籍の購入に関する既存の概念がガラッと変化するだろうと思います.

以上は読者としての意見ですが,もし自分が本を書く側だったらどうだろうかを考えると,不安に思うことがいくつか挙げられます.これまでは読者が必要とする章・不要な章が合わさって1冊の本として売れていたのに,今後は不要な章を省くことができるようになれば,それだけ売り上げの減少が考えられます.例えばウェブログを総合的に取り扱った書籍があったとして,第一章はMT,第二章はBlosxom,第三章はポータル系ブログが総合的に紹介してあり,それぞれ章ごとに著者が違った場合,第一章と第三章の著者の収入に比べ,第二章の著者の収入が劇的に少なくなる可能性がありますw.つまりamazon.comは,少数派に向けたすばらしい文章を書いている著者に対して,何らかの補助を考える必要があると思います.そうしないと,この手の執筆者というのは自然に淘汰されてしまうでしょう.もちろんすべての読者がamazon.comで書籍を購入するはずはないので,どの程度の影響が出るかは分かりません.しかし「Amazon Pages」のようなサービスを行う以上,amazon.comにはこの手の著者に何らかの形で配慮する義務があると思うのです.

ところで,Amazon Pagesは非常に魅力的なサービスであると思う反面,実はなんだか世知辛い世の中を痛感する嫌なサービスだとも思うのです.なぜなら,要するに結果を優先的に追い求めるスタイルが,この「Amazon Pages」だと思うからです.いろんな情報が詰まっている1冊の本の中から自分が必要な情報を取り出すためには,多少遠回りになるかもしれませんが,やはり1冊の本を読まねばならないと思うのです.それに1冊の本の中では情報がそれなりにリンクしているので,ある章だけ読んでもよく分からないことが多いと僕は思うのです.それをネットで本文閲覧ができるとはいえ,自分の必要な章だけを購入するなんて,世知辛い以外のなにものでもないと思うのです.

少々話はそれますが,最近は,特にスポーツ選手が「結果が大事」とか「結果がすべて」みたいな発言をしますが,結果に行き着くまでのプロセスを完全に無視したかのようなあの発言は,僕はあまり好きではありません.僕が中学生の頃,テストの答案用紙には例え答えが分からなくてもそれを導き出そうとした努力を採点者にアピールするため,途中の計算式を書き残すよう先生に言われたものです.実際に採点者は途中の計算式を考慮してくれ,10満点の設問なら3点か4点くらいはくれました(今はどうだかしりませんが).この裁量は機械にはできない人間特有のものであり,泥臭いという人もいるでしょうが,僕からすれば泥臭くて上等,どんどん取り入れるべきシステムだと思うのです.結果ばかりを追い求めて先を急いだところで,そんな結果は基礎力のない上っ面だけの場合が多いです.この辺りを熟知した上で「Amazon Pages」を利用するならいいですが,同システムによってそうでない人が増えたとしたら,ちょっと恐いと思いました.

Amazon、有料で書籍本文にアクセスできる新プログラム開発中

必要なページだけを購入できる「Amazon Pages」と、自分が買った本をネットでも読めるようにする「Amazon Upgrade」を提供する計画。出版業界との協力姿勢も強調している。


Posted at 02:20 in ネット・デジタル | Permalink | No Comment | | edit

Comments
[ No Comment ]
Post a comment

writeback message: Ready to post a comment.









Remember the above info?
管理者用コメント編集:
パスワード: