日本育英会(現:独立行政法人日本学生支援機構)の第一種奨学金を貸与した者は,卒業した後で,教育・研究職に一定期間就職すれば返還の免除を受けることができる制度がありました.しかし「目標は達成した」という訳の分からない政府の判断で勝手に廃止されました.これに代わる措置として現在は,在学中に「特に優れた業績」をあげた大学院生を対象に,貸与額の一部又は全額の返還を免除するという「成果主義」が採用されています.成果主義の導入によって,卒業後の進路を教育・研究職以外にも広げることができるようになりました.もちろん「特に優れた業績をあげた人物」と認められた者に限りますが.
実は僕も奨学生なんです.また僕の周りにも奨学生はたくさんいます.もちろん奨学金は返済することを大前提としたものですが,「卒業後に教育・研究職に就けば免除を受けられる」という微かな希望があったから,何百万円という借金をしながらも頑張ってこれました.しかし今ではその制度はなくなり,「特に優れた業績をあげた者」という”超あいまい”な規定のもとで免除が審査されるようになっています.もともと教育・研究職なんて就きにくい職種だったのに,「特に優れた業績」で免除を受けるなんて,さらに低確率な話でしょう.これはつまり実質的な返済免除制度の廃止と言えます.2005年初めにおける奨学金返済の延滞債権は2500億円だそうです.返済免除制度を廃止して,少しでも延滞債権を減らそうという試みなのかもしれませんが,そんなことは知ったこっちゃないです.どうして育英会のミスを我々が尻ぬぐいせねばならないのか.お門違いも甚だしいです.
日本における研究職の立場はどんどん悪くなっています.企業において,まずリストラの対象となるのは金にならない研究職.政府は政府で「金にならない研究はしなくていい」という始末.それなのに「女性研究職の環境改善を!」などと矛盾したことを言っているから訳が分かりません(女性だけじゃなく研究職全体の環境改善が必要だと僕は思いますけどね).「金にならない研究=基礎研究」の場合が多いわけですが,基礎研究を疎かにしていたら必ずボロがでます.政府は日本の科学研究分野を一体どうしたいのでしょうか.何の罪もない研究者(特に若手)を振り回すのも,いい加減にやめてもらえませんかね.
院生奨学金にも成果主義導入
学生時代に奨学金を受けていた方ならば「日本育英会」という名前は聞いたことがあるだろう。昨年4月には特殊法人改革により整理・統合され、独立行政法人日本学生支援機構と生まれ変わったが、奨学金返済が滞っている延滞債権は今年のはじめで2500億円にも及ぶと報じられている。多くの「苦学生」は、育英会の廃止と合理化に心配したが、引き継いだ機構が今年度に奨学金を貸与した学生(高校、高専、大学院含む)は100万人を超え過去最高で、その奨学金事業は未だ健在である。
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