Sep 03, 2007

新たなポスドク問題を示唆する文科省の考え

先進国として恥ずかしい限りであるポスドク問題を抱えておきながら,なおも科学者を増やそうとする文科省の考え方は一体何なんでしょうか.高度な数学を学んだって,それを十分に発揮できる就職先が不十分なのだから無意味でしょう.子供が現在のポスドク問題を視野に入れていることが理由とは思いませんが,実際に起こっている子供の理数系離れは,的を射た賢い傾向と思います.

「水泳の一流選手の多くが幼いうちからスイミングスクールに通い才能を伸ばすように・・・」と言いますが,それとこれとは話が違います.水泳の場合は,オリンピックに出場するほどの選手になれば,引退後は監督やコーチの職に就けるでしょうし,そこまで上達しなくても,個人の趣味として末永く続けていくことができます.また,趣味としての指導を老若男女に対して行うこともできるでしょう.指導を受ける側としても,速く泳ぐ技術ばかりでなく,綺麗なフォームでの泳ぎ方とか,遠泳の方法などを学べることはプラスになるはずです.一方,数学はどうでしょうか.英才教育を受け,科学オリンピックに出場したとしても,その後に監督やコーチとしての職があるでしょうか(無いからこそ,現在のポスドク問題があるのではないでしょうか).趣味としての指導者になると言っても,一般の人はそこまで高いレベルの数学を必要としていません.日常生活では四則演算の知識があれば良いのだし,理系の職に就くとしても微積程度の知識があれば十分なのであって,つまり数学の英才教育を受けなくても生きていけるし,指導者にもなれるのです.むしろ,幼少期に英才教育を受けず,幅広い分野の勉強をしてきた人の方が,多様性に富んだ高い人間力に基づく指導ができる気がします.

なぜ文科省は,生産ばかりに力を注ぎ,生産物の受け入れ態勢を整えようとしないのでしょうか.博士でもなんでも,作るだけ作っておいて後はサヨナラではあまりにも酷いです.そんなことだから日本では立派な科学者が育たないのです.文科省は,日本で優秀な科学者が育たない理由を「生徒の才能を小さいうちから伸ばす仕組みがなかったから」とコメントしているようですが,その考え方は間違っていて,本当は「優秀な人間がどっしりと腰を据えて研究に励むことができる環境が整っていないから」ということが正解の理由であることに早く気付くべきです(寺田寅彦先生や湯川秀樹先生が活躍された頃には,そういった環境があったのではないでしょうか).

小中高生向け「科学者養成所」 大学など5校に指導の場

水泳の一流選手の多くが幼いうちからスイミングスクールに通い才能を伸ばすように、理数系に卓越した意欲や能力を持つ小・中・高校生に向けた「未来の科学者養成講座」を文部科学省が来年度から始める。大学などに指導の場を設ける。概算要求に2億円を盛り込んだ。

内容としては、大学レベルも視野に入れた高度な数学の講義、観察や実験を通した科学の学習、電子メールや手紙による指導や学習の助言、科学の魅力を児童生徒や進路指導担当の教員に伝えることなどを想定している。夏休みなどの期間限定ではなく、毎週土曜日など年間を通じ継続的に開く。

小学生と高校生が席を並べて、大学教授から大学レベルの数学の講義を受けるような場面も実現しそうだ。同省は「スポーツとは違い、科学オリンピックに出場するような生徒の才能を小さいうちから伸ばす仕組みがなかった。優秀な科学者に育ってほしい」と期待している。

その2億円を既存のポスドク問題解決のために使えよ・・・.その2億円が,また新たなポスドク問題を生むに決まっています.ゆとり教育に失敗したら,次は極端な詰め込み教育って,どれだけ現場を無視すれば気が済むのでしょうか.どんだけー!ですよ.まさに.


Posted at 09:19 in 主に時事ニュース | Permalink | No Comment | | edit

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