Jun 17, 2007

悪魔の詩の著者にナイトの称号が授与された件

「悪魔の詩」の著者サルマン・ラシュディ氏にナイトの称号が与えられたという驚きのニュース.これは英王室が彼の仕事(イスラム教を揶揄した小説)を認めたという証拠です.「悪魔の詩」が発表されてから20年余りが経つということで,そろそろ・・・という考えの基にナイトの称号が与えられたのかもしれませんが,このような宗教が関わる問題は時間云々で割り切れるものではないと思います.イスラム教徒の心情を逆なでする事態にならなければ良いですがどうでしょうか.

日本で「悪魔の詩」と言えば,やはり筑波大学の五十嵐氏の名前が一番に出てきます.僕が五十嵐氏の名前を知ったのは,高専時代に国語を習った先生(太宰治と親交があったという,すでに退官された非常勤の先生)経由でした.五十嵐氏は1991年,勤務先の筑波大学で何者かに暗殺されました.そして昨年7月,この件の時効が成立しました.「悪魔の詩」を巡る暗殺劇は世界中で起こっており,著者であるラシュディ氏もイランの最高指導者であるアーヤトッラー・ホメイニー氏により死刑(ファトワー(fatwa))が宣告されています.ちなみにファトワーは宣告した本人しか撤回できないのだそうですが,ホメイニー氏がすでに故人であるため,今後は永遠にラシュディ氏のファトワーは続くのだそうです.CNNの見出しが「Queen knights fatwa author Rushdie」なのはこのためです.

ラシュディ氏にナイトの称号が与えられたことは,ほんの少しの寄与かもしれないけど,五十嵐氏の供養にも繋がるのではないかと思った次第です.五十嵐氏は,決して暗殺されるべくして暗殺されたのではなく,極めて不当な死であったということは周知の事実としても,それが今回の件で形として立証されたような気がします(非常に遠回りな立証ではありますが).五十嵐氏の著書「イスラーム・ラディカリズム―私はなぜ「悪魔の詩」を訳したか」を読んでみたくなりました.少しだけ.

Queen knights fatwa author Rushdie

Author Salman Rushdie, who was forced into hiding for a decade after Iran's spiritual leader ordered his assassination, is to receive a knighthood in the latest honors list, Buckingham Palace has announced.

 

<参考リンク>

悪魔の詩 (Wikipedia)

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