「日本経団連会長」「キャノン会長」という御手洗冨士夫氏の背景を考えれば,利益追求型の研究開発推進という思考は分からなくもありません.しかし国立大学に対して極端に利益を望むのはどうかと思うのです.なぜならば,研究成果が直接金にならず,世間から認められにくい地味でマニアックな基礎研究(でも非常に重要!)を行う事ができる研究機関こそが国の研究機関であり,国立大学であると思うからです.御手洗氏が言うように,総合大学を単科大学化し,それぞれの分野に特化した大学編成にした場合でも,その単科大学内において応用研究だけでなく基礎研究も行える環境が用意されるのだとは思います.しかし華のない基礎研究屋にしてみれば,それは極めて研究しづらい環境でしょう.「あいつらは研究費ばかり使って金になる研究をしていない」という誤解から生まれる周囲からの冷たい視線と,それによるストレスに苛まれる毎日が想像できます.仮に御手洗氏の考えによってアカデミックポストが増えたとしても,前述のような環境で研究を強いられるなら,それはポスドクにとってあまり喜べない状況だと思います.また単科大は,そこに属する者の視野がどうしても狭くなりがちです.そうゆう面では,総合大学は優れていると思うのです.
民間の発想や常識を国立機関に持ち込むのは非常に良いことだと思いますが,それを行う場合は「じゃあ民間に出来ない事は誰がどこでやるのか?」ということを熟考した上で動いてほしいと思います.ただし,「民間に出来ないことを国立機関だってやっていないじゃないか!」と言われる可能性は拭い去れません.いわゆる「お役所仕事」は,国立機関に属する研究者の一部にも言えるからです.こちらでも言及されている通り,国立機関に属する者(Dクラスの大学院生も含む)は,「国立大の私立大化(あるいは民間企業化)」に異議を唱えつつ,自らの研究態度にも戒めを科さねばなりません.激しく耳が痛いところであるのは間違いないですが・・・.
経団連会長「大学統合で研究開発力強化を」
日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は13日、大分市で行った講演終了後の記者会見で、日本の研究・開発力強化策として「国立大学の統合による資金と人材の集中が効果的」と述べた。そのうえで、「たとえば、九州7県の国立大学を、科目ごとに統合して集中すれば充実する。少しずつ予算を分けるより、一つに集中できれば、さらに高い次元の研究開発が可能になる」と語った。
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未だにその機能をちゃんと理解していないのですけれども(苦笑)
昨今,金になる研究,ならない研究というくくりで研究が評価されがち(世間的に)な事に危惧感を覚えます.そしてCOE等に代表されるプロジェクト型の競争的資金などの行き過ぎにも危惧感を覚えるのです.浅く広く学問の裾野を維持して欲しいと思うのはやはり大学内にいる者の甘え,なんでしょうか・・・?
まとまりませんが,コメントまで.
トラックバックしたいと思う記事があっても,その記事にトラバ機能が設けられていない場合が多くて,「あーまたトラバできない」と残念がっていましたが,今回はトラバを送ることが出来ましたw.
金になる研究がいい研究で,そうでない研究はダメな研究,という考え方はまあ分かるんですが,あまりにもそれが先行すると,非常に短絡的で幼稚な考え方に思えますね.昨今の世の中にはそのような風潮が強く感じられるので,なんか嫌です.「なんか嫌です」って言い方もないんですがw,要するにアンバランスな世の中になりつつあるのではないかと思うんです.ピラミッドは裾のが広いから安定しているけど,鉛直方向に180度回転した状態なら非常に不安定です.基礎がしっかりしていなければ,いくら応用に走ったところで不安定だと思うのです.そしていつか,その不安定な状態は安定な状態になるために転び,崩壊するのです.
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