ものすごい試合でした.文字通り死闘だった日本-ブラジル戦.惜しくも勝ちを逃がした日本でしたが,限りなく勝利に漸近した試合でした.ブラジルのスターティングメンバーは,リベロ以外は全員身長が180cm以上.リベロでも菅山と同じ169cmでした.ところが高さを生かしたブラジルのバレーは第1第2セットでは全く機能せず,ブロックポイントも第2セットでカロリネが決めるまではゼロでした.これは日本のスピード感抜群のバレーに翻弄された結果だと思います.対ブラジル戦では時間差による攻撃はあまりなかったですが,ブロードは本当に生きていたと思います.と同時に,相手のブロックアウトを狙う巧みな技術も光る試合でした.
今日も特筆すべきは菅山の活躍だと思います.とにかく「舞っていた」という感じ.JTで1年間リベロを経験した菅山.しかしその経験は,後方から巨視的な視点でバレーを見据える機会を彼女に与えたのだそうです.それが現在の菅山のプレイに生かされているとのことでした.解説の川合俊一氏曰く,菅山のジャンプは日本女子バレー始まって以来のものだそうですが,男子を思わせるパワフルさと,女子特有のしなやかさを併せ持つスパイクは確かに超絶でした.一番驚かされたのは,第2セットで19点目を決めたレフトからの体をひねりながらのスパイクでした.まるで空中を歩くかのようなあの妙技は,十分な滞空時間と高い技術力の賜でしょう.まさに全日本が生んだマイケルジョーダン.スーパースターの片鱗を見せつけてくれました.この他,彼女が繰り出した何本ものスパイクが相手コートに鋭く突き刺さりました.守備では第1セット,惜しくもブラジルの10点目になってしまいましたが,コート外に出たボールを追いかけるというファイトを見せてくれました.それでもボールを拾えなかった自分に対して「畜生!」の一言を発したというのだから,本当に熱いです.何が何でもボールを落とすまいとする粘りのバレーは,一見地味であるがためにスピードのバレーの陰に隠れがちですが,実は日本女子バレーの原点なのだと思うのです.菅山のファイトあふれるプレイは,まさに粘りのバレーの真骨頂でした.第5セット目で見せてくれた粘りのバレーは,「感動」などという安い言葉では言い表せない衝撃を我々に与えてくれました.
日本はよくやったと思います.結果的に負けたのだから,選手たちに全く悔いがない訳はないと思うのですが,最善を尽くした結果なのだからまあいいのではないでしょうか.次につなげることができれば,万々歳だと思うのです.その日本をわずかの差で上回ったブラジルのバレーは,世界ランク2位というだけあってやはり凄かったと思います.高さとパワーは圧巻でした.ブラジルのスパイクは速いだけでなく重さを感じました.特に試合序盤に見せたシェイラのバックアタックは鳥肌ものでした.勝敗を決めることになったレナタのパワーバレーも,日本にはない色でした(あの上腕二頭筋は凄すぎ!).
ところで,これまで快進撃を見せてきた全日本ですが,今日の惜敗で短所が浮き彫りになったように思うのです.菅山は確かに凄いと思うのですが,菅山だけに頼るのでは全日本の未来は明るくないと思うのです.先のオリンピックでは栗原恵に頼りっきりでした.こうやって1人の選手を軸にするのはいいと思うのですが,日本の場合は頼りすぎの傾向が強いと感じます.逆を言えば選手層が薄い.今日の対ブラジル戦を見る限りでは,高橋はよく頑張っていると思いましたが,大友や杉山あたりはもっとやれるのではないかと思いました.彼女らが本来の力を発揮していれば,ブラジル戦の結果も変わってきたのではないかと推測します.厳しいですが,何せ2-0からの逆転負けですからねぇ.まあ今さら言っても意味はないのですけど(全日本関係者ではない僕が言うのはもっと意味なしですけどw).しかし今の全日本は,もし菅山が故障してしまったら終わりではないでしょうか.終わりとまでは行かずとも,大幅な戦力ダウンにつながることは明らかです.そうゆう意味でも,得点に直接結びつく活躍が期待される大友や杉山あたりには,もっとアグレッシブに活躍してほしいと思うのです.これができれば,ワールドグランプリで好成績を収めるだけにとどまらず,オリンピック出場も夢ではないし,オリンピックでのメダル獲得も現実味を帯びてくると思うのです.
これまでの3試合はホームでの試合でした.しかし7月1日から始まる次の3連戦は韓国での試合となります.当然これまでとは雰囲気の違う試合となるでしょう.菅山を初めとする新全日本メンバーが,アウェイの地で精神的にも肉体的にもどの程度自分の力を発揮できるか.またチームとしてどれだけ団結し,竹下新キャプテンが言う「和」をどれだけ作っていけるか.そこに今後の勝敗の決め手があるように思います.今から楽しみですね.
<関連リンク>
・栗原恵の不在が示す新生柳本JAPANの面白さ(6月20日)
・日韓戦で証明された菅山かおるの潜在能力(6月25日)
日本がブラジルに逆転負け バレー女子ワールドGP
バレーボール女子のワールドグランプリは26日、国立代々木競技場で予選ラウンド東京大会最終日を行い、日本は2-3で世界ランク2位のブラジルに逆転負けし、2勝1敗となった。ブラジル戦の連敗は11に伸びた。
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