Dec 25, 2006
標高算出APIに見る日本のデータ抱え込み問題
APIというのはとても面白くて,僕もアマゾンのウェブサービスを使ったりしていますが(link),なかなか自分で利用するには知識も必要だし難しいところがあります.ですが作られたサービスを利用するのは誰にでもできるので,APIの楽しさは万人に分かってもらえるものなのです.ちなみに少々話は違いますが,いろいろなシステムやデータの重ね合わせで構築されるGISも面白いです.
NIKOさんによる,緯度経度データから標高を算出するAPIをGoogleMapのAPIと組み合わせたサービス(link via using API)もその一つで,僕としては素晴らしいと思います.このようなものは学術的な分野や教育界で重宝される可能性が大いに考えられるわけで,民間企業や大学がもっと精力的に取り組んでも良いところのはずなのに,それがなされていないのは問題視すべきことではないかという気がします.せっかく持っている高い技術力や高精度の観測データが,様々な制約(くだらないとも取れる決まり事)によって実質利用できなくなっていることも問題です(アメリカは観測データを数年以内に公開しなければならない決まりがあるが,日本にはそれがないためデータアーカイブが難しく,最悪の場合は個人(あるいは研究機関)がデータを抱え込み続けた結果,散逸して自然消滅するという現状も大問題).このAPIの解像度は約50mだそうですが,この原因はNIKOさんによれば国土地理院のデータが実質利用できないことにあるのだそうです(データの入手は可能.しかしそれを公の場で利用するための手続きが面倒くさい).これを回避するために,NIKOさんは簡単に利用できるNASAによるデータセットを用いています.日本国内のことを扱うシステムを構築するのに,自国のデータではなく外国により収集されたデータを使わなくてはならないというひずみが生じているのです.このことは日本という国が国家レベルで自国の科学技術の発展を抑制していると言っても過言ではありません.
国が科学技術の発展を邪魔していると感じることは僕の周りでも多々あります.アメリカやロシアなどの外国では当たり前に行われていることでも,日本の場合は「危ないから」とか「何かあったら大変だから」ということで禁じられている例がたくさんあります.1m先に宝物(素晴らしいデータ)があるにもかかわらず,それを採取することができない.科学とか研究(特に成果が直接お金にならない自然科学系の分野)に対する取り組みの意識の高さや理解のレベルにおいては,日本はまだまだ後進国であるし,それどころか現状が維持されれば今後もますます諸外国との差は広がっていくでしょう.APIにヒントを得た,関係者と役人の意識改革が必要です.
wikieditish message: Ready to edit a entry.
A quick preview will be rendered here when you click "Preview" button.