Apr 10, 2006

地デジを取り巻く表裏とアナログ放送の哀愁

2011年7月に地上アナログ放送は終了し,地上デジタル放送(地デジ)に完全移行します.地デジの恩恵を一番受けるのは,恐らく山間部や離島で暮らす方々だと思われます.しかし幸か不幸か,そのような方々をカバーするために莫大なお金がかかることを知って驚きました.言い換えれば,そのような方々をもし無視することができるなら,インフラにかかる費用は大きく削減することができるのです.asahi.comによれば,北海道の放送局(HTB)は大小165カ所の送信所設置を検討していますが,実は60カ所が完成すれば現行のアナログ放送を見ている約230万世帯(道内の98%ほど)をカバーできるのだそうです.つまり残る約3万世帯を網羅するために約100カ所が必要になるというのです.繰り返しになりますが,もし3万世帯を無視することができれば,お金にして十数億円が削減できる計算になるのです.

もちろん都心部以外に暮らす方々を無視することなどできるはずがありませんので,NHKを含む各放送局は連携を図り,費用削減を図りながら送信所の設置を進めています.北海道経済は破綻寸前ですから,地デジ特需で潤うかもしれません.放送局は大変でしょうが,建設業界やその他の関係業界からすれば,費用の削減など図らずにどんどん送信所の建設を進めてほしいというのが本音である可能性は低くないだろうと思います.特に北海道のような田舎では公共事業への依存はまだまだ強いですからね.

テレビの父こと高柳健次郎氏が世界で初めてテレビ画面にイロハの「イ」を映し出してから80年が経った今,テレビ業界は大きく進歩を遂げました.この間に富士通の篠田氏がプラズマテレビに「愛」という文字を初めて映し出すなどの業績をあげているわけですが,2011年7月の地上アナログ放送終了時にはどんな文字,あるいは番組が映され,その長い歴史の終焉を迎えるのでしょうか.意外とあっけない最期なのかもしれません.その幕切れと,死に様と,さっきまでちゃんと映っていたのに今はもう何も映らなくなった地デジ非対応テレビを前にして,僕は何となく寂しく,悲しく,切ない気持ちになるような気がします.せめてもの気休めとして,友人知人と協力しながら,自分たちのエリア内で放送が受信可能な全放送局の最後の地上アナログ放送をビデオに録画し,DVDにまとめられたらいいと思います.

地デジで北海道の民放が悲鳴 多数の送信所で負担大

地上波テレビをデジタル化する国の方針に、北海道の民放5局が悲鳴をあげている。面積が広大なため、キー局を上回る電波送信所を開設しなければならない。ライバル局と共同で建設したり、国に支援を求めたりと、対策に懸命だ。離島や山間部が多い県では、同じ悩みを抱える放送局もある。

テレビ朝日系の北海道テレビ(HTB)の場合、大小165カ所の送信所設置を検討している。1都6県を抱えるテレビ朝日の134カ所や、関西圏をカバーする朝日放送(ABC)の117カ所をも上回る。10カ所ほどで足りる富山県の放送局と比べると、まさにケタ外れだ。

<関連リンク>
[D-pa]社団法人地上デジタル放送推進協会


Posted at 22:36 in 主張・考察・その他 | Permalink | No Comment | | edit

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