Jun 27, 2005
禁断の黒と萌え色と色のバリアフリー
色にはそれぞれ印象というものがあり,黒という色からは,悪,闇,怪しさ(妖しさ),不安,豪華,男性的・・・などの印象を受けます.黒塗りの高級車,黒革のソファー,闇取引(総会屋)などなど,ちょっと強引な部分もありますが,黒という色はバブル時代(1986年11月~1991年2月)を象徴しているように思うのです.トイレ業界も例外ではなく,バブル時代のトイレには黒を基調としたインテリアが多かったそうです.しかし時は流れバブルが崩壊すると,少なくともトイレ業界に限っては,黒は下品なイメージの象徴へと変わっていったようです.そして黒を使うことはタブー視されるようになったそうです.
しかしバブル崩壊から約14年経ったいま,TOTOは洗面カウンターに禁断の黒を再起用しました.この理由は『「最近になって彩度の低いニュートラルカラーがインテリア業界で使われるようになってきた」(TOTOのデザインセンター第2デザイングループの迎義孝氏)ことや,エポキシ樹脂の新素材の黒なら陶器の黒のように下品に見えないこと』などがあるそうです.ですが,ではなぜ最近になって業界で彩度の低い色が使われるようになってきたのでしょうか.僕が考えるに,この兆候はバブル再来を示唆していると思うのです.このバブルが日本経済全体に訪れるのか,トイレ業界だけに訪れるのかはわかりませんし,トイレ業界だけがバブル再来の兆候を示しているのかもしれません.しかし近年は景気も上向きになってきていると言われていますし(僕はそうは思えませんが),トイレ業界がいち早く市場の動向を見据えたと言えるのではないかと思うわけです.
先ほど気づいたのですが,うちの大学のとあるトイレには,すでに黒のエポキシ樹脂と思われる素材が使われていました.僕から言わせれば,黒という色はちゃんと掃除をしないと汚れが目立つだけなのであまり良い印象はないのですが,空間内に黒があると引き締まった印象を得る点では好感を持てなくもありません.ただトイレ内に「引き締まった印象」が必要なのかどうかという,また別の問題もでてきますけど・・・.
色についてもう少し書きたいと思うのですが,皆さんは「萌え色」というのをご存じでしょうか?NIKKEI DESIGNの「なぜ今、「萌え色」か?●新しい価値観に対応するためのカラー戦略」が熱いのですが,ここでいう「萌え色」というのは,「世間の流行に左右されない,自分だけのこだわりの色」を指すのだそうです.
このサイトによると,40代から上の世代は思春期に欧米文化の洗礼を受けたため,今も手本を欧米に求めようとしている.この一方で,30代前半より若い世代には,「かっこいい」や「異性からもてそうだ」といった他人の目や世間の常識を意に介さず,自分なりのこだわりや価値観で商品を選ぼうとする消費者が多い.このような変化は,いわゆるアキバ系な人々の間で「萌え」という言葉が確立された頃から始まった,ということです.これを受けてメーカー各社は,こうした新しい価値観を持った消費者にどうアプローチしたらよいのか.自分だけのこだわりを持った人たちの台頭に,デザインはどう対応すべきなのか.この辺りの事項を考察した記事が,日経デザイン7月号に掲載されているそうです.
だけどこの辺りの議論というのは健常者を相手にしたものなんですよね.色盲の人にとっては,微妙な色の違いなど分からないし,逆に混乱を招く配色だってあると思うのです.これは個人のウェブサイトにも言えることです.「萌え色」もいいですが,「色のバリアフリー」にももっと気を配るべきだと,このエントリーを書いていて思ったのでした.
TOTOが復活させた禁断の「黒」
TOTOは2005年4月、人工大理石洗面カウンター「クリアクリスタルシリーズ」を発売した。同シリーズはTOTOが独自に開発したエポキシ樹脂を採用した素材を使った洗面カウンター。ガラスのように光を透過しながら、衝撃に強く、加工性が高いなどの特性を持つ。エポキシ樹脂特有の黄変が少なく、VOC(揮発性有機化合物)の発生抑制にも配慮していると言う。
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