大学院博士課程の平均競争倍率が平成19年度に0.9倍を割り込み,過去15年間で最低を記録したそうです.この理由について,元記事では博士号を取得しても,それを生かせる就職先がほとんど無いことだけが挙げられていますが,このことにもう1つ,近年の景気回復による売り手市場な就職環境も付け加えたいと思います.ちなみに,このような就職環境に博士号取得者はほとんど含まれません.理由は,博士号取得者には変なプライドを持っているヤツが多いこと,専門的過ぎて潰しがきかないこと,年を食っていることなどが挙げられ,それら全てを企業側が嫌うからだと思います.僕としては,博士号を取得した者はいかなる環境であっても柔軟に対応し,自分の知識を異分野へ応用する力を備えていなければならないと思うのですが,実際は机上の空論と持論だけを展開し,いわゆる社会不適合者として”その道”でしか生きられない人が多いようです.僕が親しくさせていただいている先輩方(博士号取得者)は社会適合者ばかりですけど,実は珍しい存在が珍しく集まっているのだと思います(類は友を呼ぶ理論から言うと,自分もそうか!?と言ってみたり・・・).
学部卒や修士修了の学生を取り巻く売り手市場な就職環境は前述のとおりですが,僕が学部を卒業した頃は,今とは逆に就職氷河期でした.だから,同期の中には「修士課程でよりレベルの高い勉強・研究がしたい」という理由ではなく,ただ単に「就職できない」という理由で修士課程に進学した者がたくさんいました.恐らく,これは僕が在籍していた大学に限った話ではなく,日本全国で見られた現象でしょう.このことが大学院重点化計画を支え,平均競争倍率1.0倍以上の継続を実現させたと考えられます.本来の大学院重点化計画の意向とは違った理由で,大学院重点化計画が成り立ったと解釈できるのです.つまり,大学院重点化計画はゆとり教育と同じく失敗しているのです.
本当に大学院を充実させ,世界に伍していくための高度研究・教育を担う人材を育成したいと思うなら,その人材が働く場を用意しなければなりません.2年目か3年目でクビを切られ,その後は無職になってしまう可能性も高い現在のポスドク制度では,落ち着きが悪く,高度研究などできません.こんな簡単なことがどうして役人には分からないのでしょうか.かつての科学立国日本が科学後進国になる日は近いです.同様のことは,このブログでも随分前から何度も書いていますが,事態は良くならず,むしろ悪化の一途を辿っています.
大学院博士課程の倍率0.9倍割り込む 奈良女子大は4月に追加募集
世界に伍(ご)していくための高度研究・教育を担う人材を育成する「大学院博士課程」の平均競争倍率が平成19年度、0.9倍を割り込み、過去15年間で最低を記録、関西の有名国立大の中には、定員を充足するために4月に入って追加募集を実施した大学もあるなど、 “博士離れ”がより深刻になっていることが12日、分かった。博士課程修了者の就職率が6割を切るなど、博士号を取得しても国内での就職が難しいことが進学を敬遠する大きな理由になっているとみられる。
最後に,私事で恐縮ですが,この春からとある企業に就職し,研究開発部に配属されました.自分の専攻とは少し違う分野の仕事ですが,全くの異分野ではないため十分だと思っています(知らない部分をこれから新たに勉強する楽しみもある).むしろ,企業側には僕が専攻していた分野を詳しく知る者が居ないため,自分が必要とされていることに嬉しさと充実を感じています.あとは博士号を取るだけです(これが一番の問題だ・・・).博士号取得者で,どうしても大学教員(いわゆるアカポス)か国(独法)の研究機関の研究職に就きたいというのではないなら,もっと広く視野を持ち,自分の専攻とは多少異なる分野の企業への就職を考えてみるのも手だと思います(自分の専攻と同じことを得意とする組織に挑戦すると競争率が高くなるが,自分の専攻分野が弱い(でも必要としている)組織に挑戦すると比較的競争率は低いし,就職後も第一線でバリバリ働ける).それに,一度大学外へ出た人材を欲する大学も,例えば工学部なんかでは増えているはずです.もちろん,かなり年を食った新入社員ですし,年下の同期・先輩がたくさんいますので,あらゆる面で苦労します.しかし,そんなところでプライドを持っても全く無意味です(むしろ,ある程度は落ち着いて腰を下ろし,自分のやりたいことを少しでもやれることの嬉しさを多分に感じるべき).それを理解し,実行できるなら,企業への就職はオススメですよ.幸運にも今は売り手市場の就職環境です.このことはドクターには関係ないと上記しましたが,実は自分次第でいくらでも関係を持つことは可能です.結局,自分がどうなりたいかです.アホな国に文句を言っても国は何も変わりません(アホだから).頼れるのは自分自身と民間企業です.
こんにちは。新天地で何かとご苦労も多いでしょうが、専門知識を生かしてがんばってください!
ありがとうございます!
新天地は確かに慣れない地ですが,都会なので何でも揃っており便利ですw
遅ればせながら、似たようなキャリアパスを持つ者同士ということで、新天地でのご活躍を祈念しております。私も頑張りたいと思います!
どうもありがとうございます!
Belgian-beerさんの「就職活動を振り返る」など,いくつかエントリを拝見しました.
僕はD取得がまだですし,Belgian-beerさんとは違う分野にいますが,共感できました.
他のエントリもまた後日読ませていただきますね.
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