Jul 20, 2005

幼年期の飛び級制度がもたらす不幸の可能性

小さな頃から神童と呼ばれ,10歳で大学へ入学する彼を,僕は決して羨ましいとは思いません.なぜならば彼は10歳でやるべき事を体験せずに歳を重ねていくからです.大学に入っても,周りには自分より10コ以上も歳上の人間しかいません.当然友達などできるはずがありません.同年代との横のつながりも,先輩や後輩との縦のつながりも彼にはできないでしょう.彼は昔から記憶力が抜群だったそうです.しかし大学の勉強や研究というのは記憶力だけではやっていけません.むしろ大事なのは発想力や応用力.極論を言えば記憶などする必要はなくて,膨大なデータベースの中から必要な情報を如何に効率よく見つけ出せるかとか,見つけ出した情報をオリジナリティに富んだ用途で如何に応用するか,という能力が問われるのです.このような能力は生まれつき持ち合わせるモノではなくて,様々な経験の上に蓄積されるものだと僕は思うのです.特に幼少時代の経験というは重要で,中学生くらいまでに培われる知識というのは一生使える宝物だと思っています.

彼は5歳で小学校に入学し,1年生課程を1カ月で修了.その後すぐに2年生に飛び級し,本来小学校に入学する7歳の時には小学校を卒業することになったそうです.つまり彼には小学校の思い出がないのです.一生モノの経験を得ることなく,彼は一人で大学へ進むことになりました.

本来歩むべき道を歩まずして先に進むことがそんなにいいことでしょうか.同件は大学院のマスターからドクターへの飛び級とは全然違うものです.僕は決して彼本人を批判するつもりはありません.批判すべきは彼の周りの大人たちだと思うからです.記憶力がいいだけで神童扱い.頼みの綱の親までが周囲の人間やマスコミに踊らされて,彼の大学進学に協力してしまっています.彼が神童なんかではない証拠として,自分が置かれている状況を全く理解していないことがあります.所詮は10歳の子供なのです.いくら勉強ができたって,10歳という時間は人生において今しかないということを,彼は理解していないでしょう.もしかしたら,彼は記憶力だけでなく発想力にも応用力にも富んだすばらしい人物かもしれません.しかしもし,”そうでなかった”ということが数年後に発覚したら,彼は彼を神童扱いしたマスコミや親を恨むのではないかと思うのです.ですが失った時間を取り戻すことはできません.彼に待っているのが明るい未来であることを祈りたいと思ったのでした.僕は普通の人間でよかったです.

中国で「10歳大学生」誕生へ

中国東北部の遼寧省で「史上最年少の大学生」が誕生しそうだ。同省にに住む10歳の少年が6月、全国統一の大学入学試験を受けたところ、750点満点で505点の成績をおさめ、志望校の天津工程師範学院の合格をほぼ確実にした。中国での飛び級の最年少記録11歳を塗り替えそうな少年に、中国各メディアは「神童出現」と報じている。

<関連リンク>
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