Dec 25, 2007

独立行政法人の統廃合と研究者環境と大学のあり方

独立行政法人の統廃合は,殺人事件などと違い比較的少数派な話題だろうし,存在するだけで何億円という莫大な赤字を生んでいる機関があると聞けば,多くの人がその背景にある事情を何も考慮せず,ただ短絡的に統廃合に賛成するのだと思います.僕だって,自分が関与しない文系の機関なんてどんどん統合すればいいと思ってしまうし,理系の機関でも自分が関わる以外のところは合理的にくっつくべきと思ってしまいます.もちろん,そんなことではダメだと分かっています.しかし,特に目新しい結果も出ず,自営(自立)もできない機関が,今後も国から多額の援助(すべて税金)を受けつつ存続していく意味が分からないのも事実だったりして,ある種の板挟みを感じる次第です.

この産総研の取り組みは,無いよりあった方が何百倍もマシだと思うし,どうせなら文系・理系を含めたすべての研究が直接実用化に繋がるはずはなく,むしろ実用化に繋がる研究の方が少ないことも明記してほしい気がします.なぜなら,研究というのはみんなが思っているほど簡単なものじゃなく,時間もお金もかかるものなのだという業界の常識を一般の人にも分かってもらえないと,独立行政法人の統廃合がもたらす価値について,正しい世論を得られないと思うからです.ポスドクを含む研究職を取り巻く多くの問題に少子化問題が加わり,研究職の立場は今後ますます厳しくなるでしょう.asahi.comには,防災科学技術研究所と海洋研究開発機構が統合するとありますが,そうなったら超巨大な組織が生まれることになります.しかし,それに見合う数の研究職のパーマネントポストが新設されるとは思えません.じゃあ,結局何のための統合なのかと言えば,それはより高度で有用な研究成果がたくさん産出される基礎を築くための統合ではなく,単に国の支出を減らすためだけの統合と言うことになります.そのような統合に何の価値があるでしょうか.研究者が研究できない研究所を造ることに何の意味があるのか.僕には全く理解できません.

独立行政法人、少なくとも16を削減…政府計画の骨格

政府は19日、見直し対象の101の独立行政法人(独法)について、22法人の廃止・統合などによって、少なくとも16法人を削減するとの整理合理化計画の骨格を固めた。

話は少々それますが,7大学にアニメ専攻が設置されるのだそうです.賛否両論あるだろうし,僕の意見としては「一応は最高学府である大学でやるべきことかな・・・」と,あまり必要性を感じないのですが,少なくともこのことにより日本が世界に誇るアニメやマンガの世界にまで,訳の分からない「学歴」というやつが浸透しなければいいと思います.で,以下の引用にあるコメントなのですが,僕は理解できなくもないですけど,大学関係者は言っちゃダメだと思いました.あまりにもぶっちゃけすぎ.学生は,大学を卒業したら死ぬわけじゃなく,就職してその先の人生を生きていかねばなりません.だから教員は,例えそれが立て前であろうと(立て前だったらマズイんだけど),学生の就職を重視する教育を第一に考えると発言すべきです.個人の感性を刺激することが大学の役目などという下記のコメントは,極めて時代錯誤な内容ではないでしょうか.というか,自分が学生だった20年から30年くらい前の頃のことを思い出して発言しているように感じます.こんな頼りない先生の研究室,僕だったら絶対に入りません.

アニメ:7大学に専攻設置、人気上々 背景に少子化対策

ただ、アニメ製作は近年、多くをアジア諸国に外注する傾向が強い。このため、進路に不安を感じる学生も少なくないという。京都精華大マンガ学部アニメーション学科の前田庸生教授は「就職を重視する教育よりも、感性を刺激する情報を幅広く与えることが大学の役目」と話している。【加藤隆寛】

▽漫画家で大阪芸術大キャラクター造形学科教授の里中満智子さんの話 英文科を出た誰もが英文学者になるわけではない。アニメ学科も同じで、鍛えた発想力や表現力はどの分野でも生かせるはずだ。


Posted at 19:55 in 主張・考察・その他 | Permalink | No Comment | | edit

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