May 06, 2009

持参金でポスドク問題を解決?

ゆとり教育と同じく大失敗したと言える大学院重点化計画によって生み出されたポスドクの悲劇は,一昨年まで自分の問題でもあったので,企業に就職した今でも興味を惹かれる話題です.この度,文科省は企業に対し,ポスドク1人採用につき500万円を支給するべく,09年度補正予算案に5億円を計上したのだとか.読んでるそばから呆れてしまったのですが,またよく分からない税金の無駄遣いをするようです.こんなことでは一生ポスドク問題は解決しませんね.考えられる主な理由は以下.

理由その1

1人あたり500万円で,5億円計上ということは,すなわち最大でもたった100人のポスドクしか持参金を与えることができません.元記事で「ポスドクは1万6千人を超えた」と言及があり,この数字が正しいと仮定すると,この持参金制度が行き渡る割合は最大で0.625%です.1万6千人のうち,企業への就職を望まないポスドクが半分いるとしても,持参金該当割合は1.25%.はっきり言ってポスドク問題の解決には全く寄与しません.

理由その2

企業は営利団体なので,最終的に1円でも多く利益をあげることを目標にしています.このことを念頭に置いたとき,人工(にんく)や給与などの面において,30歳超の非社会人経験者という名のポスドクを採用するかどうかは,企業にとって非常にシビアな話になるはずです.そのとき,500万円の持参金なんて,はっきり言って多くの企業にとっては全く大したことのない金額ですから,ぶっちゃけどうでもいいという見方をされるでしょう(逆に,持参金目当てで採用を決めるような企業になんか就職しない方が身のため).企業側は,あくまでもその人(ポスドク)の専門性と人間性を重視して採用するかしないかを決めるはずであって,たった500万円ぽっちの持参金が採用判断の要になることは到底考えられません.民間企業で働いたことのない文科省の役人が,民間企業のことをどう見ているのか知りませんが,不景気で経済的に苦しいとは言え,500万円に騙されるほど企業はバカじゃないし,甘くないですよ.

<ポスドク>1人採用で5百万円…文科省が企業に「持参金」

博士号取得後に任期付き研究員(ポスドク)として大学や公的研究機関で働く人たちの民間企業への就職を増やそうと、文部科学省が、ポスドクを採用した企業へ1人につき500万円を支給する。国策としてポスドクを増やしながら受け皿不足が指摘される中、「持参金」で企業側の採用意欲を高める狙い。文科省が企業対象の事業を実施するのは珍しく、09年度補正予算案に5億円を計上した。

文科省の新施策では、まず企業からポスドクの活用方針や業務内容、支援策などの採用計画を募集。科学技術振興機構で審査した上で、採択された企業に対してポスドク1人につき500万円の雇用経費を支払う。支援期間は1年間だが、「使い捨て」にならないよう、終了後のキャリア構想も審査するという。文科省は「実際に採用した企業からのポスドクの評価は高い。何とかよい出会いを増やしたい」と話している。

たった500万のために,忙しい業務の中で採用計画書を作り,キャリア構想の審査もされ・・・(余計なお世話だ!).一体どれだけの企業が応募するのか見物です.しかしながら,民間企業への就職チャンスがあるポスドクはまだ恵まれていますね.分野によってはどうにもならないですから.とは言え,博士という人はあらゆる分野に柔軟に対応していくことのできる力を持っているべき人物だと思います.「自分の専門はコレだからコレ以外考えられない」と言うんじゃなくて,もっと視野を広げてほしいです.そうすれば,分野を越えた就職も可能性が出てくると思います.このことは,下の関連エントリでも書いています.

関連エントリ

博士号取得者は国を頼らず企業を頼れ(08/4/13)


Posted at 19:28 in 主張・考察・その他 | Permalink | No Comment | | edit

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