地球上に温室効果ガスが全く存在しないと仮定して熱収支の計算を行えば,地球の平均気温はマイナス18度となります.しかし実際の平均気温はプラス15度前後です.これは温室効果ガスのおかげなのです.しかし温室効果ガスが増えすぎると平均気温の上昇につながるため,気候や生態系に影響を及ぼします.しかもその影響のほとんどは悪影響です.近年地球温暖化が問題視されている背景には,こういった理由があるのです.
地球温暖化の話に首を突っ込むと,必ずと言っていいほど目にする言葉が2つあります.「京都議定書」と「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」です.個人的に京都議定書は政治の臭いを強く感じるのであまり好きではありません.アメリカが未だにサインしていないことからも無意味さを感じるのです.ブッシュは地球温暖化を警告するNASAの研究者に対し,逆に警告を発している始末です(自国の産業の妨げになるため).しかしIPCCの方は政府という単語が入っているとはいえ,京都議定書よりは意味のある決まり事だと思います.ちゃんとした研究者による最新の研究が反映されています(と僕は思っています).イギリス政府が警告を促した南極巨大氷床の崩壊もその一つです.英国南極観測隊のクリス・ペプラークリス・ラプレー教授のコメントです.
英国南極観測隊(BAS)の責任者を務めるクリス・ラプレー教授が、西南極大陸の巨大な氷床が崩壊を始める恐れがあると警告している。そうなると、海面を5メートル近く上昇させかねない。
ラプレー教授は、この氷床の安定性に関する懸念を過小評価したIPCCの前回の報告書を改めるべきだとしている。
温暖化による悪影響は様々ですが,海面上昇は山火事と並んで最も分かりやすい悪影響の例の一つです.世界中に分布する,いわゆる海抜0メートル地帯の陸地は海になってしまうかもしれません.そうなれば,そこに住む人々の暮らし,動物や植物の生態系,熱収支などが大きく変わるのです.日本では東京の海抜ゼロメートル地帯が有名です.海面が上昇したところに現代版関東大震災(あるいは東海地震)が発生すれば,もう想像もできないような大災害に発展することはいうまでもありません.一方,北海道では温暖化の影響によって流氷が接岸しなくなると言われています.流氷は観光資源としての役割やオホーツク地方の気候へ影響を与える他にも,オホーツク海の漁獲高を左右する大事な働きをするのです.流氷が接岸して海を覆うと気温は一気に下がりますが,流氷が来なければそのようなことは起きず,いつまでも海から大気中へ水蒸気の供給が続くため,今より更に降雪量が増えるかもしれません.前述の通り,急激な自然現象の変化は人間だけでなく動物や植物にも影響を与えます.昨年世界自然遺産に登録された知床の生態系も危ういのです.「南極の氷床が崩壊」などと聞くと,何だか遠くの地で起っている自分には無関係の出来事のような印象を得ますが,決して他人事ではないのです.
ところで日本語ではよく海面上昇(あるいは海水面上昇)という言葉を使います.僕も上記の文章の中で使いました.しかし正確には海面は上昇するものではありません.上昇するのはあくまでも「水位」なのです(海面が単体で上昇することは絶対にない).水位が上昇することにより海面の位置も上昇するわけです.ちなみに海面上昇は英語では「sea level rise」です.「sea surface rise」ではないのです.日本人の中には英語を直訳して「海水準上昇」という人もいます.しかし僕からすれば海水面位置の変化(変動,上昇)とか,海水位の変化くらいでいいように思います.海水準変動というと,何だかもの凄く長期的な変動(100万年周期とか)をイメージするためです.
「南極巨大氷床の崩壊」が現実に? 英政府が警告
イギリスのトニー・ブレア首相は、30日(現地時間)に公開された報告書の中で、気候変動によってもたらされる脅威はこれまでの予想よりも大きくなる恐れがあり、地球温暖化は抑制できない速さで進んでいると述べている。
<関連リンク>
・Global Warming Risks Severe(オリジナルソース)
・Bush to NASA Climate Scientist: Play Ball on Global Warming!
・海水準変動(Wikipedia)
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